狸の尻尾を掴むつもりが、気付けば奴に彼女との関係を引っかき回されて終わった休日。
このままでいられるかと秘密裏に追及を進めた俺は、
ついにあの男が組織に仇なそうとする存在であるという確証を得た。
Millefioreの権力を象徴する、高校生離れした規模のアジトの一室。
なめた小蠅に狂わされた軌道を修正するべく、次の一手を考える――。
あれから数日。偶然に偶然が重なって生まれたとんでもない誤解は解けないまま。
学校に行って、授業を受けて、お弁当を食べて、放課後は友達と寄り道もして。
いつも通りの日常を過ごしてはいるけれど。
そんな一日の間中、どこよりくつろげるはずの家にいる今も、頭の中のもやが晴れない。
あの人のことを想うだけで甘い気持ちが胸に広がる。ほんの少し前までそうだったはずなのに。